投資奨励方針
政府の予算負担を軽減し、現在および未来の経済状況に対応する為、投資委員会(BOI)は以下の通り投資奨励政策を決めている。
- 付与される税的恩典は効率、効果を高めなければならない。恩典は経済に利益をもたらすプロジェクトに付与し、また良い統治で税的恩典を管理し、監督する。奨励企業はその年の税的恩典を受ける前に奨励プロジェクトの事業結果を報告しなければならない。
- 世界市場における競争力を引き上げ、品質および生産基準を高めるために、投資資本金(土地代および運転資金を除き)が1,000万バーツ以上のプロジェクトはISO9000もしくはISO14000もしくはその他の類似した国際基準を取得しなければならない。
- 奨励基準を国際貿易および投資にあわせるため、以前あった輸出およびローカルコンテンツに関する規定を廃止する。
- 低収入および投資設備の少ない地域に特別投資奨励が付与される。これらの地域に最高の税的恩典が与えられる。
- 中小企業を優先し、BOI布告第1/2553号における業種には最低投資金額(土地代および運転資金を除き)を50万バーツとし、その他の業種については最低投資金額(土地代および運転資金を除き)を100万バーツとする。
- 農業および農作物、技術開発、人材開発、公共施設、インフラおよび基礎サービス、環境保護・保全、そして対象事業を優先する。
プロジェクト認可基準
投資奨励恩典を要求されるプロジェクトの適切性を検討する際、BOIは以下の基準を適用する。
- 投資奨励恩典を要求されるプロジェクトの認可を検討するため、以下の基準を適用する。
- 付加価値が20以下にならない。ただし、電子製品・部品、農業および農産品そして委員会より特別認可が付与されるプロジェクトを除く。
- 新設プロジェクトの場合、負債対自己資本比率が3対1を超えてはならない。拡大プロジェクトの場合はケースバイケースで検討する。
- 近代的な生産プロセスおよび新品機械が使用されること。または信頼できる機関により性能保証を受け、特別認可を受けた中古機械を使用すること。
- 充分な環境保護システムを設置すること。委員会は環境に影響を与える可能性のあるプロジェクトの立地および環境対策に特別考慮をする。
- 投資金額(土地代および運転資金を除き)が8,000万バーツ以上のプロジェクトは委員会の必要条件として可能性調査を提出しなければならない。
- コンセッションプロジェクトあるいは国営企業プロジェクトの民営化は1998年5月25日、そして2004年11月30日付けの閣議決定に基づき委員会の基準は以下の通りとなる。
- 1999年国営企業民営化法による国営企業の投資プロジェクトは、民間に運営され政府にその所有権が委譲されるコンセッションプロジェクト(BTOまたはBOT)に奨励を付与する権利がない。プロジェクトを所有し、奨励を求める国営企業は委員会にプロジェクト開始前、プロジェクト入札召集前、プロジェクトを提出しなければならない。入札の過程には付与されるべき恩典が入札者に知らせるよう明確に記しなければならない。原則として、委員会は政府に消費される投資におけるしかるべき金額の場合を除き、政府にコンセッションのために代償を払う場合に奨励を付与しない。
- 国に賃貸料として支払いし、民間に賃貸ししたり運営されたりするBOIプロジェクトに基づく政府プロジェクトについて委員会は通常の基準を適用させる。
- 国営企業の民営化について政府の支援を必要とする場合、1999年国営企業民営化法に基づき、該当の国営企業が民営化された後、適切な予算がされるべきである。民営化の後の拡大については通常の基準に基づき、拡大プロジェクトに恩典を付与する奨励手続きを適用する。
外国人の持ち株規定
- 農業、畜産、漁業、鉱物探査、鉱業および1999年外国人事業法にお ける表1のサービス業のプロジェクトについて登録資本金にタイ資本が最低51%入っていなければならない。
- 製造業のプロジェクトについては外国人の持ち株に制限がない。
- 適切に応じて委員会は奨励プロジェクトのために外国人が持てる株数を設定することがある。
税制上の特典の付与の方法
以下の通り全国を3ゾーンに分けて、税制上の特典に差をつけている。
全国の地域分け一覧(2000年8月1日改正のものを更に2004年6月11日改正)
第1ゾーン バンコク首都圏6県
バンコク、サムットブラカーン、サムットサーコーン、パトムタニ、ノンタブリ、ナコンパトム
第2ゾーン 首都圏周辺11県およびプケット
サムットソンクラーム、ラッチャブリ、カンチャナブリ、スパンブリ、アントーン、アユタヤ、サラブリ、ナコンナーヨック、チャチンサオ、チョンブリ、*ラヨン、*プケット
第3ゾーン(1) 36県
クラビー、カンペンペット、コンケン、チャンタブリ、チャイナート、チュムポン、チェンライ、チェンマイ、タラン、タラート、ターク、ナンコンラーチャシマー、ナコンシータマラート、ナコンサワン、プラチュアプキリカン、プラチンブリ、パンガー、パタルン、ピチット、ピサヌローク、ペチャブリ、ペチャブーン、ムクダハン、メーホンソン、ラノーン、ロップブリ、ラムパーン、ラムプーン、ローイ、ソンクラー、サケーオ、シンブリ、スコタイ、スラタニ、ウタラディット、ウタイタニ
第3ゾーン(2) 22県
ガラシン、チャイヤプーム、ナコンパノム、ナラティワート、ナーン、ブリラム、パタニ、パヤオ、プレー、マハーサラカム、ヤソトン、ヤラー、ローイエット、シーサケート、サコンナコン、サトゥーン、スリン、ノンカイ、ノーングブアラムプー、アムナートジャラーン、ウボンラッチャタニー、ウドンタニー
(注:ラヨン県とプケット県は2000年8月1日の改正前は第3ゾーンであった。)
投資ゾーン別税的恩典付与の基準
- ゾーン1 バンコク都、サムットプラカーン、サムットサーコーン、パトムタニ、ノンタブリ、ナコンパトムに立地した奨励プロジェクトは以下の恩典が付与される。
- 輸入関税率が10%以上の機械・設備について50%減税。
- 工業団地または奨励工業地域に立地したプロジェクトは法人所得税を3年間免税とする。但し、プロジェクトは投資額(土地代および運転資金を除く)が1,000万バーツ以上の場合、操業日より2年以内にISO9000またはISO14000その他類似した国際規格を取得しなければ、法人所得税免除期間が1年間減となる。
- 輸出向けの製造に使用される原材料および必要資材に対し輸入関税を1年間免除する。
- ゾーン2 - サムットソンクラーム、ラッチャブリ、カンチャナブリ、スパンブリ、アントーン、アユタヤ、サラブリ、ナコンナーヨック、チャチンサオ、チョンブリ、ラヨン、プケットに立地した奨励プロジェクトは以下の恩典が付与される。
- 輸入関税率が10%以上の機械・設備について50%減税し、工業団地または奨励工業地域に立地したプロジェクトに対し機械・設備に輸入関税を免除する。
- 法人所得税を3年間免除し、工業団地または奨励工業地域1に立地したプロジェクトは7年間に引き上げる。但し、プロジェクトは投資額(土地代および運転資金を除く)が1,000万バーツ以上の場合、操業日より2年以内にISO9000またはISO14000その他類似した国際規格を取得しなければ、法人所得税免除期間が1年間減となる。
- 輸出向けの製造に使用される原材料および必要資材に対し輸入関税を1年間免除する。
- ゾーン3 - 残りの58県に立地した奨励プロジェクトは以下の恩典が付与される。
- 機械・設備に対し輸入関税を免除する。
- 法人所得税を8年間免除する。但し、プロジェクトは投資額(土地代および運転資金を除く)が1,000万バーツ以上の場合、操業日より2年以内にISO9000またはISO14000その他類似した国際規格を取得しなければ、法人所得税免除期間が1年間減となる。
- 輸出向けの製造に使用される原材料および必要資材に対し輸入関税を5年間免除する。
- プロジェクトのインフラの設置、建設費の25%を、収益を生じた日から10年の間に、純利益から通常の減価償却に加えて控除することができる。奨励事業の収入発生日より10年間に渡り、どの年の利益から控除するのか、あるいは数年に渡って控除が可能である。
- クラビー、カンペンペット、コンケン、チャンタブリ、チャイナート、チュンポン、チェンライ、チェンマイ、タラン、タラート、ターク、ナンコンラーチャシマー、ナコンシータマラート、ナコンサワン、プラチュアプキリカン、プラチンブリ、パンガー、パタルン、ピチット、ピサヌローク、ペチャブリ、ペチャブーン、ムクダハン、メーホンソン、ラノーン、ロップブリ、ラムパーン、ローイ、ソンクラー、サケーオ、シンブリ、スコタイ、スラタニ、ウタラディット、ウタイタニ、以上 36県あるいはレムチャバン工業団地またはラヨン県2における工業団地もしくは奨励工業地域に立地したプロジェクトは第3.1項、3.2項、3.3項、3.4項に基づく恩典のほかに以下の追加恩典が付与される。
- 免税期間終了後、投資による純利益に対し、法人所得税を5年間50%減税する。
- 輸送費、電気代、水道代を、奨励事業の収入発生日から10年の間に2倍まで控除することができる。
- 国内販売向け原材料または必要資材の輸入税を5年間通常のレートより75%減税する。委員会は1年間認可する。その原材料または必要資材は国内で生産されず、されても輸入品の品質より劣る場合、数量が十分にない場合に限れる。この恩典はレムチャバン工業団地、ラヨン県の工業地域に立地するプロジェクトは対象外とする。
- ガラシン、チャイヤプーム、ナコンパノム、ナラティワート、ナーン、ブリラム、パタニ、パヤオ、プレー、マハーサラカム、ヤソトン、ヤラー、ローイエット、シーサケート、サコンアコン、サトゥーン、スリン、ノンカイ、ノーングブアラムプー、アムナートジャラーン、ウボンラッチャタニー、ウドンタニー以上22県に立地したプロジェクトは第3.1項、3.2項、3.3項、3.4項に基づく恩典のほかに以下の追加恩典が付与される。
- 免税期間終了後、投資による純利益に対し、法人所得税を5年間50%減税する。
- 輸送費、電気代、水道代を、奨励事業の収入発生日から10年の間に2倍まで控除することができる。
- 国内販売向け原材料または必要資材の輸入税を5年間通常のレートより75%減税する。委員会は1年間認可する。その原材料または必要資材は国内で生産されず、されても輸入品の品質より劣る場合、数量が十分にない場合に限れる。この恩典はレムチャバン工業団地、ラヨン県の工業地域に立地するプロジェクトは対象外とする。
- 2014年12月末までの申請しなければならない。
- レムチャバン工業団地またはラヨン県における工業団地もしくは奨励工業地域に立地したプロジェクトは2014年12月末までの申請しなければならない。
工場移転に関する基準
投資委員会は、地方産業振興、所得格差解消の目的として、奨励の有無を問わず中部地方にある既存の工場が地方へ移転することを奨励資格を付与する。
その基準は以下の通り
- 移転は第1ゾーンから第2、第3ゾーンへ、または第2ゾーンから第3ゾーンへの移転でなければならない(既存の場所から、より後進の地方への移転を奨励する。
- 工業団地、工業地域へ移転すること(工業団地、工業地域以外に移転するものは奨励されない。
- 業種は奨励対象業種表にある、投資委員会が奨励する業種であり、かつ、投資委員会が規定する規模を有すること。
- 移転に伴う奨励証書が発給されてから2年以内に、既存の工場を閉鎖し、新しい地点で創業を開始すること。
- 移転されたプロジェクトは以下の税的、非税的恩典が付与される。
- レムチャバン工業団地またはラヨン県における工業団地もしくは奨励工業地域を除き、ゾーン2の工業団地もしくは奨励工業地域に移動するプロジェクトは7年間法人所得税の免除恩典が付与される。但し、プロジェクトは投資資本金(土地代および運転資金を除き)が1,000万バーツ以上あり、新工場操業日より2年以内にISO9000またはISO14000その他類似した国際規格を取得しなければ、法人所得税免除期間が1年間減となる。
- レムチャバン工業団地またはラヨン県における工業団地もしくは奨励工業地域を含むゾーン3の工業団地もしくは奨励工業地域に移動するプロジェクトは以下の恩典が付与される。
- 法人所得税を8年間免除される。但し、プロジェクトは投資資本金(土地代および運転資金を除き)が1,000万バーツ以上あり、新工場操業日より2年以内にISO9000またはISO14000その他類似した国際規格を取得しなければ、法人所得税免除期間が1年間減となる。
- 免除期間満了後、さらに5年間投資から生じた利益に対し法人所得税を50%減免する。
- 奨励事業から生じた最初の収入発生日より10年間運送費、電気代、水道代を2倍控除にする。
- インフラの設置、建設への投下資本の25%を純利益から通常の減価償却に加えて控除することができる。収入発生日から10年間のどの年の利益からでも控除、数年にわたって控除することもできる。
- 奨励対象業種表に入っており、法人所得税免税対象でない業種は移転しても免除恩典が付与されない。
- 法人所得税の免除は新しい立地での操業より収入が生じた日から適用するものとする。
- クラスターに基づき付与される恩典に変更があり、あるいは2014年12月31日に奨励申請期限が満了した場合、委員会は工業団地もしくは工業地域におけるプロジェクトおよび既存の立地における奨励事業を拡大したプロジェクトに既存の恩典より少なくない恩典を付与することを検討することがある。
優先産業
優先産業に分類される産業は以下の税的恩典が付与される。
- 立地ゾーンに関係なく、機械の輸入税の免除
- 立地ゾーンに関係なく、法人所得税を8年間免除(免税額に上限あり)
- その他の立地ゾーンに応じた恩典
特別重要かつ国益をもたらす業種に対する恩典
特別重要かつ国益をもたらす業種に分類される産業は以下の税的恩典が付与される。
- 立地ゾーンに関係なく、機械の輸入税を免除
- 立地ゾーンに関係なく、法人所得税を8年間免除(免税額に上限なし)
- その他の立地ゾーンに応じた恩典